クヒオ大佐を観た話

最近よくDVD観てるって話の続き。

私はNHK大河ドラマ新選組!」以来、堺雅人のファンです。
半沢直樹やリーガルハイをはじめとした、堺雅人出演作品は見るのですが、堺雅人出演の映画はあまり観たことが無かったので、「クヒオ大佐」を観ました。

バリバリの純粋な日本人なのに、整形で鼻を高くして、ジョナサン・エリザベス・クヒオと名乗り、自分はアメリカ空軍特殊部隊だと言って女性を次々に騙して結婚詐欺を働く男。

これがまた実在の人物をモデルにした作品ってのが面白い。

で、堺雅人クヒオ大佐を演じるわけですが、このクヒオ大佐、街中なのに普通に軍服を着てて、明らかに浮きまくりw
こんなやつが歩いてたら、結婚詐欺に遭う前に、速攻で警察に通報だと思うのですが、逆に堂々としすぎているせいで信じてしまうのでしょうかw

作品はシュールコメディっていうカンジです。
映像的には地味目です。

ただ、クヒオ大佐の見た目が浮いているので、そこがシュールな笑いを生んでいました。

ただ、wikipadiaで見たら、実在のクヒオ大佐(と名乗っていた男)は、

6歳でワシントン大学を卒業

と、映画もぶっ飛ぶウソをついていますw
6歳でワシントン大学卒業てw
そこはせめて6歳でワシントン大学入学だろw
いや、そっちも無理があるけどさw

そのあと10歳でミネアポリス士官学校の入学資格を得るけど、体格が伴ってないので15歳まで辞退。
その間、エール大学で弁護士資格を得て、東京大学法学部大学院で法学博士号を得てるんだとか…うそだけど。

なんかね、この「6歳でワシントン大学を卒業」という文字を打ち込んでいると、あまりの無茶苦茶っぷりに、打っている自分が犯罪を犯している気すらしてきますw

映画の話に戻ると、騙されている女性は、見事なまでに騙されています。
しかし、騙されている女性(小さな弁当屋の女社長)の弟が登場し、速攻で見破ってましたw
ま、そりゃそうだろうな、とは思いますw

その弟が実にいい味を出している。
この弟というのは、たまに姉のところにやって来て金の無心をする、要するにクズなんですが、こいつとクヒオ大佐の会話が面白い。
「姉貴の金は俺の金だから俺に返せ」的なことを言って、クヒオ大佐から金を取ろうとしています。
そんでもってクヒオ大佐より英語が上手w
クヒオ大佐は、自宅(ただの安アパート)から女のところに電話をかけて「今イスラエルの上空にいる」などと世迷言を言います(どうやって上空から国際電話をかけるんだ…と思いますが、まぁ軍の特殊な通信を用いているとか言ってるんでしょう)
その世迷言ですが、たまたま電話を取ったのが前述のクズ弟。
でもクヒオ大佐は電話がつながった瞬間に喋っちゃうからクズ弟に「お前相手を確認してから喋れよ…」と呆れられてしまいます。

クズ弟に100万用意しろと言われ、クズ弟の姉を騙して何とか100万円を工面するクヒオ大佐ですが、わざわざドル紙幣に両替して待ち合わせ場所のジョイフルに持ってきます。「いちいち両替するな面倒くさい」とツッコミを入れられていました。
そして、こんなことをクヒオ大佐に言います。

 

「佃煮ちまちま作って儲けた金じゃなくてよぉ。あるだろなんか、もっと簡単な金がよぉ。そっちを盗めよ」

 

このセリフがねぇ、なーんかいいんだよねぇ。
お前が言うなよ!感が満載だけど、そういうこと言っちゃう、言えちゃう程度には分別があるんだね。でも姉を騙して用意された100万円と知ってても平気で受け取っちゃう程度にはクズなんだねっていう。
このクズ弟のキャラを物語るには十分すぎるセリフでした。
映画クヒオ大佐の一番の名シーンはここだと思います。

あと、クヒオ大佐に騙されるもう一人の女性を満島ひかりが演じているのですが、なんつーかエロい。
別にベッドシーンがあるわけでは…いや、あるか。あるけど、全然そんなドロっとしてない、サラリとしたベッドなんですが、そこはまぁどうでもいい。そんなにエロスは感じない。
けど、それ以外のシーンでちょいちょいエロいんですよね。うーん、これもうまく言えんな。
なんか、服装がちょっと幼いカンジだから、それがギャップエロを感じるのかな?
最後に海に落ちてズブ濡れになってるんですけど、その辺は完全にエロかった。

あ、あとマックスエロはあれだ。クヒオ大佐を追いかけて旅館みたいなとこに入って行って、弁当屋の女社長と遭遇するんですが、そこで取っ組み合いのケンカをします。
騙された女同士でケンカとか、もう見ちゃいられない地獄絵図なんですけど、そこが最高にエロかったですね。ザ女ってカンジ。

あー、あと科学館の前でスーパードライ飲んで酔っ払ってるシーンもエロかった。
若いいい女が、こんなグダグダになって、これまた見てらんない、醜いっつーかみっともないシーンだけど、あれも良かったなぁ。

ラストの方で、ウソがバレて悟りの境地に入ったクヒオ大佐が自分語りを始めます。
そこでクヒオ大佐は、自分は北海道でバラに囲まれた屋敷で育って…みたいな生い立ち話をするんですけど、それもウソw
クヒオ大佐がずっと喋ってるんですけど、流れている映像はバラに囲まれた屋敷を羨ましそうに眺めている少年で、これこれがクヒオ大佐の本当の生い立ちなんですね。
そこでは、親に虐待されている様子も流れています。ところがクヒオ大佐のセリフは、その映像と真逆でシュールでした。こんな状況になっても、なおウソをつき続けるクヒオ大佐の心理状態ってどうなっているんだろう…みたいな。

ウソをつき続けるうちに、自分の中ではそのウソこそが真実になる…というのは、割とよくある話です。
クヒオ大佐は、ウソで塗り固めないと自分を保つことすらできない状態だったのかな。と思ってしまいました。

そんなカンジで、クヒオ大佐は面白いと言えば面白いのですが、ゲラゲラ笑うタイプの映画ではないです。

この映画を見ていて、久々にショーンKのことを思い出しました。